男の涙

男の涙には、いくつかの涙がある。嬉し涙、悔し涙、悲しい涙、後悔の涙、愛おしい涙、何かを成し遂げた涙・・・。

今日のTVで、トヨタの豊田社長の涙を見る機会があった。米国の議会での公聴会の後のトヨタディラの会合でのことだ。公聴会の後、ディラーや社員が集まる集会に出席した豊田社長は温かく拍手で迎えられ、「独りじゃなかった。あなた方や米国中、世界中にいるあなた方の同僚が、わたしとともにいてくれた」。」とスピーチしたときだった。

この直後、豊田社長はで感極まったのか、涙がこみ上げてきた。正に万感の思いだったのではないだろうか、アメリカだけでトヨタグループの従業員は10万人を超えるとか、これに日本、世界を含めると100万人を超える従業員がいる。

豊田社長の胸の中にそれらのことが一気に押し寄せたのではないだろうか。正直、リコール問題発覚後の豊田社長の記者会見をNEWS見ると、無表情さだけが目につく、そんな印象だった。

僕は、今日の豊田社長の涙で、甘いと言われるかも知れないが、豊田社長が好きになった。
経営者は孤独である。彼は、今回のリコール問題で、伝統ある創業一族である豊田家の人間として複雑な思いがあったと思う。下手をするとトヨタ存亡につながる問題であり、処置を誤ると豊田家の汚名を一身に浴びることにもなり兼ねない。

そんな中での今回の公聴会出席だ。胸に去来する様々な思いの中での今日の公聴会だったのではないだろうか。企業のトップとして、涙を見せるのはいかがなものか、という批判は出るかもしれない。でも豊田社長が見せた涙はトヨタ再生の涙になると思った。僕がトヨタの社員ならば、今日の豊田社長の涙を見て、「よし、頑張るぞ」と決意新たにスタートを切ると思う。

久しぶりに見た「男の涙」が嬉しい。