2020年の幕開けです。
あらためて、新年明けましておめでとうございます。
この2020年のお正月に、僕は人生初の体験を行いました。
それは、皇居での一般参賀に初めて足を運んだことです。
好天にも恵まれ、真っ青な空の下、天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下のお姿と国民への力強いお言葉に接し、感激もひとしおでした。
一般参賀に足を運んだのは、もちろん僕だけではありません。
報道によると、当日の午前中だけでもおよそ2万9000人だったとのこと。
僕もその中の1人です。
その朝、僕はまだ薄暗い早朝に家を出て、皇居を目指しました。
日本橋駅で下車して歩き出すと大勢の小旗を持った人がいます。
「え!この辺りからもう並んでいるの?」
人手の多さに驚きながら、よく見ると小旗は日の丸ではなく、読売新聞のそれでした。
合点がいきました!
今日、2日は一般参賀と供に、箱根駅伝のスタートでもあったことに気がついた僕は、人手の多さに納得と同時に皇居周辺は相当混んでいることを覚悟したのです。
クルマの通行止めになった内堀通りを渡ると、警備と誘導を行っている警察官の指示に従って皇居前広場に入りました。
そこには1番から2番、3番と記された立て札毎に大勢の人が列をつくって並んでいます。
警察官の誘導に従って、僕は4番の列に並んだのです。
・・・4番か!早起きした甲斐があったなぁ、
内心、チョッピリ喜んだ僕です。
それぞれの列は横に20人くらい並び、縦に目見当で500人くらい、合わせて凡そ1000人単位くらいずつの列が皇居前広場を埋め尽くしています。
これだけ大勢の人を見るのは僕の人生初体験だと思いながら、人の多さにあきれながらも圧倒されました。
時計は8時を少し回ったくらいです。
まだ2時間以上の時間があります。
周囲を見渡すと、カップル(老いも若きも)、グループ、体育会系の大学生たち、大きな日の丸を掲げた右寄りの方々、僕と同じ1人だけのオジサン、オバサン、若者と色とりどりです。
じっと1人でただ立って、ひたすら開門を待つというのは、かなり辛いものがあります。
足も疲れてきます。周囲を眺めるウォッチングも永続きできるものではありません。
僕の左隣のオジサンは、これまで何度か一般参賀に来られているのか、手慣れた様子で折りたたみ椅子をセットし、バッグから文庫本を取り出し、悠然と読み始めました。
…やるなぁ、用意周到順義万端だ。達人の称号を献上したいオジサンだ。
「よし、次回はあの達人を真似ることに決めた!」と秘かに決意する僕でした。
さて、ここから本論です。
僕のすぐ後ろに目をやると、2人の若者がいました。
ひとりは丸坊主、ひとりはキチンとした短髪の高校生と思しき2人です。
丸坊主の子は何やら参考書を拡げ、単発の子は文庫本を拡げています。
すると、丸坊主が「勉強しなくていいの?」と問いかけると、「この本、もう直ぐ読み終わるのでそれから勉強するから」と短髪が応えます。
その2人のやり取りに好感を抱いた僕は声をかけました。
「君たちは受験生なの?」
単発が応えました。
「いえ、受験は来年なんです。でも受験制度が来年から変わるので、それに対応するために今から準備しているんです」
きちんとした受け答えに、ますます好感を抱いた僕は彼らと暫く雑談を始めました。
「志望学科は何?」
短髪は、「理工です。建築を勉強したいのです」
丸坊主は、「化学です。環境工学で基礎研究をしたいのです」
僕はこの若者たちが、しっかりと目標を持って勉強をしていることに驚きました。
重ねて問いました。
「建築や化学を学びたいと思ったのは、なぜ?」
「安藤忠雄先生を知ってますか?僕はあの先生のように人々が感嘆するような建築物を造りたいからです。あのような方になりたいと思っているんです。」
丸坊主は「今のままでは地球はダメになります、環境を変えるには化学の力が必要だと思い、どうしても科学を勉強して、役に立ちたいと思っています」
すごい高校生たちです。
自分が志望学科を選んだ動機とは桁違いに立派です。
それから2人の高校生との会話が続きました。
丸坊主は剣道をやっているので、坊主にしている。
短髪は、バスケをやっている。
中学、高校と同じで、大学も可能なら同じ大学に行きたい。
「どこ大学を志望しているの?」と聞いたら、「東大です!」と生き生きと返事をしてくれました。
そして、この会話での最後の問いかけは「なぜ、一般参賀に来ようと思ったの?」
2人は笑顔で「天皇陛下を生で見たかったのと、東大合格を祈願したかったんです」
さすがである!
短い時間での会話であり、偶然の出会いの会話でしたが、実に爽やかな出会いでした。
この2人の高校生が大好きになりました。
一般参賀のこの日、生の天皇陛下のお姿、お言葉という貴重な体験と共に、これからの日本の将来を担う若者たちと出会うことができました。
少子高齢化、エネルギー危機、閉塞感の日本、等々とマスコミは吹聴するけど、日本の未来はこのような若者がいる限り、捨てたものではない、未来は明るいと思いながら爽やかに帰途に尽きました。
2020年、オリンピックイヤーのスタートです。
今年も元気にスタートです。